引き続き、「人工呼吸器は苦手!」という方に向けて人工呼吸器の基礎についての情報をお届けしたいと思います。
今回は人工呼吸器の換気モードの『SIMV』についてお話いたします。
看護師向けセミナー・研修のケアリングでは、本記事以外にも人工呼吸器に関する情報を分かりやすく発信しています。
より理解しやすい解説として、人工呼吸器に関連するセミナーも多数実施しています。いずれも基礎的な内容をしっかり学べるように工夫していますので、是非ご活用ください。
目次:
1.SIMVとは
1-1.CMVとIMV
1-2.アシストウィンドウ
2.設定項目
1.SIMVとは
SIMVとは、synchronized intermittent mandatory ventilationの略で、日本語ではSynchronized(同期式)、Intermittent(間欠的)、Mandatory(強制的)、Ventilation(換気)、「同期式間欠的強制換気」の意味となります。
1-1.CMVとIMV
以前お話した、CMV(持続的強制換気)という換気モードに対してIMV(間欠的強制換気)という換気モードがあり、両方とも強制換気となります。
その違いは、
・CMVは、『C:Continuous(持続的)』というだけあり、決められた時間・回数をいつも強制換気することになります。
・IMVは、『I:intermittent(間欠的)』という意味であり、強制換気ではありますが、毎回必ず強制換気を行うのではなく、時々行うといった換気モードになります。
上記のIMVに『S:synchronized (同調式)』を付けたものをSIMVと呼び、なるべく患者さんの自発呼吸に合わせて、決められた回数だけ強制換気(補助換気もしくは調整換気)を行うものです。
SIMVとCMVの違いは、決められた時間(換気回数)に対して、すべて強制換気を行うCMVに対して、SIMVは自発呼吸に対しては、必ずしも補助せず、決められた換気回数以外は、単なる自発呼吸か、PSを付加した自発呼吸になるというところです。
1-2.アシストウィンドウ
SIMVでは換気回数を決めると、最初の強制換気を目印に、その後の強制換気スケジュールが決まり、その換気スケジュールの中に、3~6秒の間といったような間隔を設けます。
この間隔のことをアシストウィンドウと呼びます。
SIMVでは、このアシストウィンドウの間(開いてるとき)に自発呼吸があるか否かで、補助呼吸をするか調整換気を行うかを見ています。
・アシストウィンドウが開いている時間に自発呼吸が感知された場合に補助換気
・アシストウィンドウが閉じるまでに自発呼吸がない場合には、調整換気(強制換気)
SIMVでは、アシストウィンドウが開いていないときにも自発呼吸を行うことができますが、基本的には決められた時間以外での補助換気は行いません。
しかし、患者さんは細い人工呼吸器の回路内で自発呼吸を行わなくてはいけないため、ただでさえ弱っている呼吸状態で、抵抗の強い環境(回路内)での自発呼吸を強いられます。
それにより呼吸仕事量が増加してしまい、場合によっては呼吸筋疲労を招いてしまいます。
そのため呼吸仕事量の軽減の目的で、自発呼吸に対してPS(pressure support)を付加してあげることがあります。
しかし、自発呼吸の呼気の途中にアシストウィンドウの終了時間になると、調整換気(強制換気)が行われてしまうため、患者さんは呼吸のタイミングが合わず、苦しい状況となってしまいます。
もともとSIMVは、自発呼吸が十分ではない患者さんに対して使用することが多いため、自発呼吸が増加し、タイミングが合わない状況が増加してくるようであれば、換気モードの変更も検討していく必要があると考えられます。
2.設定項目
設定項目は、
- FiO2(酸素濃度)
- PEEP
- PS(必要時)
- 換気回数
- VC(従量式)かPC(従圧式)を選択
▶VC(従量式)の場合
- 1回換気量
- 吸気時間または吸気量
▶PC(従圧式)の場合
- 吸気時間
- 吸気圧
次回は、患者の自発呼吸を補助する換気モード、APRVについて説明を行っていきます。
↳人工呼吸器の基礎 | 人工呼吸器の換気設定―APRV編ー
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2020-07-15 更新
2020-08-14 更新
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