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人工呼吸器の基礎 | 人工呼吸器の換気設定―APRV編

引き続き、「人工呼吸器は苦手~」という方に向けて人工呼吸器の基礎についての情報をお届けいたします。

看護師向けセミナー・研修のケアリングでは、本記事以外にも人工呼吸器に関する情報を分かりやすく発信しています。

より理解しやすい解説として、人工呼吸器に関連するセミナーも多数実施しています。いずれも基礎的な内容をしっかり学べるように工夫していますので、是非ご活用ください。

今回は人工呼吸器の換気モードの『APRV』についてお話させていただきたいと思います。

 


 

目次:

1.APRVとは
  1-1.APRVでの呼気と吸気
  1-2.APRVの利点
  1-3.APRVの問題点
2.設定項目

 


1.APRVとは 

 

APRVとは高圧相と低圧相の二相性のCPAPを使い、換気を行う換気モード。人工呼吸器の回路出口を閉じ、空気の流出を減らし、持続的な高い陽圧(高CPAP)をかけ肺を膨らませ、回路出口を開放することで、肺を萎ませることで、吸気と呼気に相当する換気を作り出す換気様式です。

回路出口の開放時(呼気に相当)には、持続的な低い陽圧(低CPAP)をかけることで、肺胞の虚脱を予防しています。
APRVは、airway pressure release ventilationの略で、この換気様式から気道内圧を開放する換気方法という意味合いで付けられています。

 

 1-1.APRVでの吸気と呼気

高圧相と低圧相を設定することで、気道内圧の上昇・減少を作り出し、呼気と吸気に相当する換気を作り出します。

APRVにおける吸気:人工呼吸器の回路出口を塞ぎ、内圧を目標の圧まで上昇させていき、肺容量を増加させていきます。目標の圧まで達成されたら、少しずつ圧を逃がしながら、高圧相を維持できるように調整を行っていきます。

APRVにおける呼気:高圧相が一定時間保たれた後、人工呼吸器の回路出口が開放され、低圧相の目標圧まで低下していくことで、肺を萎ませ、呼気に相当する換気を作ります。解放され、圧の低下が低圧相の目標圧までしか下がらないため、呼気に相当する換気でも肺胞は完全に虚脱されずにすみます。(Auto-PEEPのような状態)

 

 

 

 1-2.APRVの利点

高圧相でも高い気道内圧を保つことで、肺胞の開存を保つことができます。
また、PSのようなサポートをかけないため、気道内圧の著しい上昇が少なくすみます。
高圧相、低圧相ともに自発呼吸を行うことができるため、生理的な横隔膜の動きが保たれやすく、背側の換気が改善され、酸素化の改善が望める可能性があります。

※人工呼吸器の換気では、横隔膜の換気に頼らないため、腹腔内臓器に圧迫されている背側の横隔膜の動きが悪くなり、背側が換気不良になりやすい。

 

 

 

 1-3.APRVの問題点

APRVの問題点としては、以下のようなものが考えられます。

・高圧相での呼吸が多いと、胸郭が広がった状態での呼吸となり、一回換気量が少なくなる可能性がある。

・高い気道内圧を維持するため、肺胞の損傷(volutrauma/ボルトラウマ:量損傷)や、静脈還流量の低下により、血圧の低下などが生じる可能性がある。

 

 

 2.設定項目

設定項目は、

    • FiO2(酸素濃度)
    • PEEP
    • 高圧相
    • 高圧相時間
    • 低圧相
    • 低圧相時間

  になります。
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2020-07-15 更新

2023-06-08 更新


 

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