Naなどの電解質の急激な補正により生じる可能性があるため注意が必要な病態は何か？

ODS(浸透圧性橋脱髄症候群)が生じる可能性がある

慢性的な低ナトリウム血症では、脳細胞内が細胞内の浸透圧物質を細胞外へ排出する防御機構が働く。この防御機構により、脳細胞内は低張に保たれて細胞容積の増大を防いでいる。

このような状態で急激に血清ナトリウム濃度を補正しようとすると、脳細胞から水が流出して細胞が萎縮しODSが生じる。

浸透圧の変化に最も敏感な橋で生じやすく、橋中心脱髄症候群とも呼ばれるが、橋以外の基底核や視床でも病変は認められる。

ODSの症状は様々であるが、仮性球麻痺による構語障害、四肢麻痺、けいれん、意識障害などが生じ、重篤な場合は死に至る。

ODSの症状は、血清ナトリウム濃度の急速補正により一旦低ナトリウム血症の中枢神経症状が消失した数日後、時間を置いて出現するケースが多いとされている。