PICS（集中治療後症候群）とは何か？

【運動機能障害】
PICSの運動機能障害として、肺機能障害、神経筋障害、全般的⾝体機能障害などがある。特に重症疾患の罹患後に左右対称性の四肢のびまん性の筋⼒低下を呈する症候群をICU-AWと呼び、PICSの運動機能障害のなかで最も重要なカテゴリーとして注⽬されている。

【認知機能障害】
認知機能障害は、ICU退室患者の30～80％に発症する。認知機能が障害された高齢者は、死亡率増加のリスク因子だけでなく、医療費の増加にも関連し、さらに家族の大きな負担となるため、大きな社会問題となる。ICUで遭遇する認知機能障害の多くはせん妄であるが、うつ病の発症による認知機能障害や高齢者では認知症の悪化なども認められている。

【精神機能障害】
うつ病、不安、⼼的外傷後ストレス障害 (PTSD)がPICSの精神障害を構成する要素である。重症患者の⽣存者のうち、30％はうつ状態に苛まれ、70％は不安に苦しみ、10～50％は PTSDを発症する。そのため、可能な限り精神的なアセスメントを⾏い、適切な対応が必要である。