看護師のキャリア『大学教授に聞いてみた』その四
看護師のキャリアパスについて、臨床から離れて研究職に就かれた方や、資格を取得して仕事に活かされている方にお話を伺い、「看護師のキャリアパスシリーズ」として紹介します。
前回に引き続き、大学で教員をされている方に研究職についてお話いただいています。今回はその第4弾です。
もくじ
- 研究職の時間と給与
- 看護師と研究職との違いは何か?
- 研究職であることの楽しさは?
研究職として大学に勤務されている方にお話を伺いました。今回は、研究職と看護師の違いや、仕事のやりがいについてお答えいただいています。
看護師と研究職との違いは何か?
教授の回答:教育職や研究職に就くと、ほぼ現場から離れることになるため、看護師としての臨床現場との両立は難しいです。これは大きな違いであり、両立できない点はネガティブな部分だと感じています。
看護の現場は日々変化しているため、研究を通じて現場と接点を持たないと置いていかれてしまいます。実際に、現場から離れてしまい周囲を振り回す教員もいて、苦労することも多いです。
病院の現場は忙しいですが、患者と直接関わる仕事で成果も見えやすい。一方で学校の中は細かなゴタゴタに振り回されることも多く、病院以上に大変だと感じることもあります。
質問:それは人間関係の問題でしょうか?
教授:はい。看護系の学校の中では、誰もがそうした人間関係の苦労を経験しています。
質問:看護師の臨床現場ほど人間関係の気遣いはないと思っていましたが、実際にはもっと複雑な面があるのですね。
教授:そうです。どの看護教員の組織も苦労しています。病院には医師がいて外部からの目もありますが、教員組織は看護師だけの閉ざされたコミュニティになりがちで、外からのチェックが入りにくい環境です。
質問:第三者のチェックがほとんどなく、閉鎖的な環境になってしまうということですか?
教授:そういうことです。
研究職であることの楽しさは?
質問:研究職の楽しさややりがいについて教えてください。
教授:教育と研究の両方にやりがいがあります。私自身も臨床経験がありますので、研究職になって看護師の仕事から離れることに寂しさを感じるかとよく聞かれますが、学校にいても対人援助の共通点があります。
学生が成長していく姿を見ることは大変喜ばしいことです。患者さんが元気になるのと同様に、学生の成長もその人の人生にプラスになる支援であり、どちらもやりがいを感じます。
また研究に関しては、自分が考えたことや社会に役立つと思ったことが形になり、学会発表や論文掲載という形で成果が表に出ると非常に嬉しく、大きなやりがいを感じます。
教育と研究、両側面で異なるやりがいを持つことができるのが魅力です。
これまで全4回にわたり、大学で教員として勤務される方に研究職に関するお話を伺いました。お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。