看護師のキャリア『大学教授に聞いてみた』その参
看護師のキャリアパスについてお話しします。臨床現場を離れて研究職に就かれた方や、資格を取得して新たな分野で活躍されている方々にインタビューを行い、その経験や考えを「看護師のキャリアパスシリーズ」として紹介しています。
今回はシリーズの第3弾として、前回に引き続き、大学で教員を務められている看護師の方に、研究職について詳しくお話を伺いました。臨床の現場とはまた違う視点ややりがい、そしてキャリア形成のヒントが得られる内容となっていますので、将来の進路に迷っている看護師の方にとって参考になれば幸いです。
もくじ
- 給与の変化はあるか?
- 研究職はプライベートな時間を持てるか?
給与の変化はあるか? 『大学の場合は役職と給料が非常にリンクする』
-お答えしにくい内容かもしれませんが、看護職の時と比べて給与に変化はありますか?
教授:給与の話は確かに大事なポイントですね。大学の場合は役職と給料が密接に結びついています。例えば、教授の給料は一般的に看護部長クラスの給与水準に相当します。私自身は40代前半で教授職に就きましたが、その年齢で看護部長になる方はあまり多くありません。ですので、年齢に対しては比較的高い給料を受け取っていると言えます。一方で、同じ40代前半でも助教の先生の場合は、主任クラスの給与かそれ以下くらいの水準です。
-そんなに差があるのですか?
教授:はい、かなり差があります。准教授や講師の給料はだいたい師長クラスの給与と同程度です。ですから、役職によって給料は大きく変動します。
-役職と給料が本当に密接にリンクしているのですね。
教授:例えば40代半ば以降で、病院で役職をある程度経験し大学院の修士課程を修了した先生の場合、大学によって異なりますが准教授以上のポストに就く可能性はあまり高くありません。そのため、講師などのポストで採用されると、給与が下がるケースもあります。こうした点は、進路を考える上でよく検討しておく必要があります。
研究職はプライベートな時間を持てるか? 『自分の仕事のスタートも終わりも自分で決めることになる』
-研究職は看護師より忙しいイメージがあります。プライベートな時間が少なく、遅くまで残業している印象もありますが、実際はどうなのでしょうか?
教授:忙しいのは確かですが、それなりにプライベートな時間も確保しています。例えば病棟勤務だと必ず次のシフトの人に引き継ぐため、仕事には明確な区切りがありますよね。しかし研究職の場合は、仕事の開始も終了も自分で決めなければなりません。効率的に進めなければ、仕事がずっと終わらないように感じてしまうこともあります。
授業資料の準備なども凝り出すと終わりがないですし、研究自体は自分の裁量で行うものなので、終わりのない作業になりがちです。効率の良い人は楽しみながら上手く時間を使っていますが、効率が悪い場合は自分の働き方の問題か、職場の非効率な要求に苦しむこともあります。
忙しさの感じ方は本人次第という面もありますが、研究職は自分で仕事のペースをコントロールできる部分が大きいので、そこをどう考えるかが大切です。
-自分で仕事の裁量を持ち、自由に働ける点が研究職の魅力であり、面白さでもあるのですね。
教授:その通りです。裁量労働制でタイムカードもなく、残業代や休日出勤手当はありませんが、遅刻もない、自由な働き方が特徴です。