看護師セミナーCaring

看護師のキャリア『専門看護師に聞きました』その四


看護師のキャリアパスについて、これまで臨床の現場から離れて研究職に就かれた方や、新たな資格を取得してその知識を仕事に活かしている方々にお話を伺ってきました。本シリーズでは、看護師としてのさまざまなキャリアの道筋や、実際の経験談を詳しくご紹介しています。

これまでに第1回から第3回まで、そして専門看護師の方々にお話を聞いた内容をお届けしてきました。おかげさまで多くの方にご好評いただき、看護師のキャリア形成に役立つ情報としてご活用いただいています。今回の掲載が本シリーズの最終回となりますので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

今回のテーマは「専門看護師の実際」です。専門看護師になってからどのような仕事を担当し、どんな役割や責任が増えたのか、また実際にどのように仕事が変化したのかについて詳しくお話を伺いました。専門看護師としての仕事の現場ややりがい、キャリアの広がりを具体的に知ることができる内容です。
なお、これまでの内容をご覧になっていない方は、ぜひ下記のリンクから第1回~第3回のインタビュー記事や専門看護師のお話をご確認ください。看護師としての多様なキャリアパスを理解するうえで、とても参考になる内容です。

専門看護師制度は、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上をはかることを目的としています。

(引用:日本看護協会HPより)


もくじ

  • 病院外との関わりが増える
  • 仕事の幅が広がる
  • 看護師を続けるなら学習の場が必要
  • 院外での講師依頼

専門看護師の院外での変化についてのインタビュー

引き続き、都内の病院に勤務されている急性・重症患者看護分野の専門看護師の方にインタビューを行いました。今回は、専門看護師になってからの院外との関わりやその変化についてお話を伺っています。

院外での変化

病院外との関わりが増える

以前は専門看護師の活動は主に院内に限られている印象が強かったのですが、近年はその状況が変わりつつあります。どの領域においても、地域の在宅医療や施設など病院の外に出て活動することが増えてきています。これは、地域での医療的な成果や効果が認められ、診療報酬の加算対象になるケースが増えているためです。

特に退院後の療養環境の整備という観点からも、専門看護師の役割はこれからますます院外で広がっていくと考えられています。

仕事の幅が広がる

専門看護師の仕事の範囲は、疾患や看護の研究の充実に伴い、ケアの幅だけでなく活動領域全体が広がっています。そのため、より多様な介入や支援を行う機会が増えている印象です。

病院によって専門看護師の活用方法は異なり、積極的に活用している施設も多いです。中には診療報酬の加算を受けるために交渉を行い、より多くの仕事を任されるケースもあります。

ある先輩専門看護師は、自身の価値向上を病院に提案し、その結果、学費の一部を負担してもらえたという例もあります。一方で、専門看護師としての活動時間を十分に確保できず、活動が制限されている病院も存在しています。

看護師を続けるなら学習の場が必要

専門看護師として活動を続けるには、継続的な学習の場が欠かせません。専門看護師になることで物事の見方が変わり、自分自身のスキルやできることも増えていくため、学び続ける意義は非常に大きいと感じています。

看護職全体においてもリカレント教育※が重要で、多くの方が学び続けて刺激を受けることは良いことだと考えています。

※リカレント教育:生涯にわたって教育と就労を交互に行い、スキルを継続的に高めていく教育システムのことを指します。

院外での講師依頼が増える

専門看護師としての活動が広がる中で、院内での研修だけでなく、院外でのセミナーや講師依頼も増加しています。特に春と秋の新人教育関連の時期に多く、北陸地方をはじめ様々な地域から依頼があるそうです。

依頼者の中には、学会発表を聞いて内容が評価されたことがきっかけで依頼を受ける場合もあります。また、製薬会社や医療機器の業者から推薦されて依頼が来ることもあるようです。

まとめと次回予告

今回まで全4回にわたり、都内の病院に勤務される専門看護師の方にお話を伺いました。忙しい中、貴重なインタビューに応じてくださった専門看護師の皆さまに深く感謝申し上げます。

次回からは、「看護師のキャリアシリーズ ~大学教授に聞きました~」として、大学の教員として研究職に就かれている方にお話を伺っていきます。どうぞご期待ください。