看護師セミナーCaring

72歳男性。過去に心筋梗塞歴あり。突然の動悸と冷汗で救急搬送。心電図ではQRS幅が広い頻拍で、P波はQRSと無関係に散在。どの診断が最も疑われるか。


  1. 心房細動(AF)
  2. 心房粗動(AFL)
  3. 心室頻拍(VT)
  4. 洞性頻脈

回答

3. 心室頻拍(VT)

解説

本症例は心筋梗塞の既往があり、さらにQRS幅が広く(wide QRS)、P波がQRSと一致しない「房室解離」が見られていることから、心室頻拍(VT)が最も疑われます。VTは心室からの異常興奮が持続する危険な不整脈で、特に心筋梗塞後の瘢痕部からのリエントリーが原因となることが多く、致死性不整脈の代表です。

AFやAFLでは通常QRS幅は正常です。洞性頻脈では房室解離は起こりません。本症例では冷汗や循環不安定が見られ、VTの典型的な臨床像です。血圧が維持できない場合は緊急の電気的除細動が必要であり、循環動態が保たれている場合でも抗不整脈薬の投与などの早期介入が求められます。

心筋梗塞後のVTは突然死の大きな原因であり、治療としてICD(植込み型除細動器)の適応が検討されることがあります。また、急性期治療と長期管理の両方が重要となる不整脈で、心不全や再灌流障害など全身状態も総合的に評価する必要があります。

ポイント

  • wide QRS + 房室解離 → VTを最優先で疑う
  • 心筋梗塞後はVTの高リスク状態
  • 突然死につながるため迅速な対応が重要

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