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動脈血液ガス分析 「看護に活かせる血液ガス分析の見かた ~基礎から応用まで~」

こんにちは。

『ケアリングセミナー』事務局担当の大木です。

今回、9月30日 (土)  開催予定の
「看護に活かせる血液ガス分析の見かた ~基礎から応用まで~」
で講師をしていただく前川先生に動脈血液ガス分析について記事を執筆いただきました。

講義内では症例を含めて内容を丁寧にわかりやすく説明いただきます。

それでは早速、読み進めていきましょう!

 

氏名:前川 義和
所属:社会医療法人誠光会 淡海医療センター
役職:ICU看護師長
資格:クリティカルケア認定看護師、特定看護師、呼吸療法認定士
略歴
2006年 宇治おうばく病院 精神科身体合併症病棟入職
2008年 蘇生会総合病院 ICU入職
2013年 杏林大学医学部付属病院集中ケア認定看護師教育課程修了
2017年 京都大学医学部附属病院 集中治療部入職
2019年 淡海医療センター ICU入職
2020年 滋賀医科大学看護師特定行為研修センター 急性期・周麻酔クラス(6区分15行為)修了

ご挨拶


皆様はじめまして。私は滋賀県草津市にある淡海医療センターのICUで勤務をしております前川義和と申します。

現在ICUの師長として部署の管理運営を行いつつ、クリティカルケア認定看護師としてRST(呼吸ケアサポートチーム)に加わり、一般病棟での人工呼吸器の設定変更や呼吸器からの離脱のサポートなどを目的に、呼吸器内科医や臨床工学技士、理学療法士、管理栄養士などの多職種と協働して組織横断的に活動をしています。

また、2020年度に看護師特定行為研修(6区分15行為)を修了しました。特定看護師としては、医師が発行した手順書に基づき、ICUやHCU等を中心に人工呼吸器の設定変更や人工呼吸器からの離脱、直接動脈穿刺、橈骨動脈ラインの確保などを、また一般病棟等を中心に気管切開をされた患者さんの気管カニューレの定期交換を行っています。

今回は人工呼吸器の設定変更などの際に重要になってくる動脈血液ガス分析について少しお話をさせて頂きたいと思います。

 

動脈血液ガス分析とは


臨床ではよく「血ガス」と呼ばれていると思います。動脈血を採取して専用の機械を用いて、動脈血の中の酸素分圧(PaO2)や二酸化炭素分圧(PaCO2)、pHとよばれる血液が正常より酸性またはアルカリ性に傾いているかどうかを示す数値などを測定するものです。

ICUや手術室等では日常的に目にされているでしょうし、一般病棟では患者さんの状態が悪い時に目にされたことがあるのではないでしょうか。動脈血液ガス分析でわかることとして以下の2つがあります。

①肺胞とその周りにある毛細血管とのガス交換が正常か障害されているか
②血液の酸性とアルカリ性のバランスを保とうとする仕組み(酸塩基平衡)が正常か障害されているか

 

①ガス交換障害


①についてはPaO2やPaCO2からわかります。酸素化の指標としては動脈血を採取しないとわからないPaO2よりパルスオキシメーターで測定するSpO2がよく用いられています。

指にプローブを付けるだけで測定が出来て、患者さんに侵襲もなく持続的に測定できるのでどの病棟でも使われています。

しかし、PaO2は動脈血の中の酸素の量そのものを測定しているのに対して、SpO2はパルスオキシメーターで動脈血の中に含まれるヘモグロビンと酸素がどのくらい結合しているかを測定しています。

根本的に見ているものが違いますし、SpO2は測定している条件に大きな影響を受けます。例えば指先が冷たい患者さんでは測定できないということは皆様経験があるのではないでしょうか。本当に酸素化の指標を知りたいのならばPaO2を測定する必要があります。

また二酸化炭素については、基本的に動脈血を採取してPaCO2を測定する必要があります。学習されている方はカプノメーターという人間の吐いた息(呼気)に含まれる二酸化炭素分圧(EtCO2)を測定する機器もご存知かと思いますが、病態によってPaCO2と数値とのずれが大きいことや、そもそもカプノメーターを設置しているのはICU等で、一般病棟にはないことの方が多いのではないでしょうか。

従って、ガス交換障害の有無について把握するには動脈血液ガス分析が必要ということになります。

 

②酸塩基平衡障害


動脈血液ガス分析ではこの他にもHCO3-(重炭酸イオン)やBE(ベースエクセス)と呼ばれる値も測定しています。

このあたりになるとあまりよくわからないという方もおられるのではないでしょうか。

血液が正常より酸性またはアルカリ性に傾くのは呼吸の影響だけではありません。

人間は生きていくためにATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギーを作り続けています。

その結果として二酸化炭素がどんどん産生されていきます。

二酸化炭素は化学反応で酸になるので、二酸化炭素がどんどん溜まっていくと、血液は酸性に傾いていきます。

そうならないように呼吸で二酸化炭素を排出していく訳ですが、この酸の排出としては腎臓も大きな役割を担っています。

看護学生の頃、腎臓には老廃物の排出の他に酸塩基平衡の調節という役割があるということを耳にしたことはありませんか。つまり、人間の血液の酸塩基平衡のバランスは呼吸だけではなく、腎臓等も関わっています。

こういうことが動脈血液ガス分析を行うことで把握することが出来るわけです。

 

おわりに


いかがでしょうか。

動脈血液ガス分析とは何か、動脈血液ガス分析からわかるガス交換障害や酸塩基平衡障害について少しお話をさせて頂きました。

測定される数値の正常値を知ると正常か異常かはわかるようになります。

しかし、臨床の場面で活用しようと思うと基礎知識から分析の考え方についての知識が必要になります。冒頭でお話したように、看護師特定行為として人工呼吸器の設定変更や動脈穿刺を看護師が行うことが可能になった時代です。

基礎知識から分析の考え方について、ぜひ学んで頂き医師と同じ視点で患者さんの病態のアセスメントが出来るようになりましょう。

そのようなことを学んで頂けるようなセミナーになるように私も努めますので、お待ちしております。

 


文面でも丁寧にわかりやすく説明くださる前川先生ですが、

セミナー内ではもっと詳しく知識を教えてくださいます。

前川先生、ありがとうございました!

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