看護師のキャリアシリーズ ~移植コーディネーターに聞きました その弐~

看護師のキャリアパスについて、臨床から離れ研究職に就かれた方や、資格を取得し仕事に活かされている方などにお話をお聞き、看護師のキャリアパスシリーズとして、紹介させていただきます。
前回に引き続き、臓器移植に携わる、移植コーディネーターの方にお話を伺いました。

 


 

目次
 移植コーディネーターの実際 
  ~仕事と残業について
  ~移植コーディネーターと診療報酬
  ~移植の件数
  ~移植コーディネーターの役割、看護師との違い
  ~移植コーディネーターになることでの変化は?
  ~移植コーディネーターの立場

  

  


移植コーディネーターの資格をお持ちで、都内の病院に勤務される看護師の方にお話を伺いました。
今回は、移植コーディネーターの役割や資格取得後の変化などについてお話を伺いました。

 

 

―仕事と残業について―
―資格を取得してからの仕事量が増えて残業時間が増えたといったことはありましたか?
移植コーディネーターの資格を取りたての頃は、自部署の上司や同僚が配慮してくれたので、移植コーディネーターとしての仕事に集中することができました。
しかし、看護師のキャリアが積み重なっていくと、違う業務もしなければならなくなるので、両立するとなると残業は多くなると思います。
ただ、専従として勤務できれば残業することはないと思います。

 

 

―移植コーディネーターと診療報酬―
―資格を取得して行える業務はどのようなことなのでしょうか?
移植コーディネーターとして求められていることは、チーム医療を円滑に進めるために先導することです。
それに対して『移植後患者指導管理料』という項目があり、看護師として診療報酬が付きます。
また、本来は移植コーディネーターの仕事とは区別されるものなのですが、研修を受けると『移植後患者指導管理料』の下に、外来で生活指導ができるようになります。
私は、今現在は外来でコーディネーターとしての業務はしていませんが、以前は生活指導をして、点数を頂いていました。

 

 

―移植の件数―
―どれくらいの移植が行われているのですか?
移植コーディネーターが病院で認知されているのは移植件数がかなり多いところで、腎移植や血液内科の造血幹細胞移植で年間100件を超えるような施設では常設して置いています。常設の決まりとしては、業務の半分は移植コーディネーター業務でなければならないという決まりがあります。
―実際に移植が多い病院はどこになるのでしょうか?
腎移植の件数であれば東京女子医科大学病院や、名古屋第二赤十字病院などが多いと思います。
また、大阪では大阪大学医学部附属病院だと思いますが、地域的に名古屋が移植へ力を入れています。
名古屋は移植発祥の地のような感じになっていて、名古屋第二赤十字病院や藤田医科大学病院などは有名です。
造血幹細胞移植は、私が勤務する病院ですと年間30例弱です。腎臓移植になると年間8例くらいです。

 

 

―移植コーディネーターの役割、看護師との違い―
―看護師と移植コーディネーターの違いはどのような部分でしょうか?
看護とコーディネートは若干、道が違うのです。
看護がしたい人、ケアだけしたい人もいますが、移植コーディネーターは、看護師にケアの部分はこのようにしてくださいと伝え、最終的にはチーム医療を円滑に進める役目があります。
例えば移植に同意していたけれど、『止めたい』と意思が変わった時にはしっかり止められるかという役目もあります。提供すると言ったけれど手術当日に怖くて嫌になる人もいますし、提供者がいなくなるケースもあります。
また、提供者が無理やり同意させられていないか、強迫をされていないかということもあります。
そのような時にブレーキをかけられるかということも移植コーディネーターとしての役割と能力だと思います。
―ケアするのではなく、意思決定やマネジメントなど、移植に関する調整的な役割を担うのが、移植コーディネーターということですね。
移植コーディネーターと移植看護は少し違います。
移植看護というカテゴリーはないのですが、移植における看護がしたいという思いで移植コーディネーターになると、違和感を感じるかもしれません。
学会では、混同している部分が多々ありますが、移植の現場では、看護とコーディネーターは違うということを理解すべきです。
ただ、看護師は倫理的な部分にも常に触れていますし、コミュニケーション能力も普段から磨かれているという意味では、チーム医療を円滑にする意味や、意思決定の支援などを行う上では、看護師が移植コーディネーターになるのが近道ではあると思います。
―適正としては、看護師はマッチするということですね。

 

 

―移植コーディネーターになることでの変化は?―
―移植コーディネーターになることで、給与や職位に変化が生じることはありましたか?
移植コーディネーターになって給料が変わることはありませんし、職位が変わることもありませんでした。
所属がどこになるかという問題もありますが、いずれは移植コーディネーターが正式な職種となり、専従で給料をもらえたらと思います。
―現状は正式な職種としては認められていないということですか?
アメリカでは移植コーディネーターという地位が確立されていて、職業としてしっかり成り立っています。アメリカと比較すると日本は遅れていると感じます。
私が所属する病院で臓器移植コーディネーターは私だけで、僕が取らなければ誰も取らないという状況です。
やはり職種として確立していないので、移植コーディネーターとしてのポジションを上司に認識していただかないとなりません。
血液内科の医師や臓器移植の医師は、移植コーディネーターが必要だと言ってくれますが、看護部は難色を示します。
―医師からも必要とされているのに、理解は難しい状況であるということですか。
看護部に対する医師の説明にも多少の問題があり、十分な理解が得られていないように感じます。
印象としては、看護師が医師の下請けのような形で業務させられると思われているところがあります。
コーディネーターの業務にデータ管理をすることも求められるのですが、私一人で病棟業務とコーディネーター業務の兼任は時間・業務量共に難しいと思います。
専従で業務をしていれば可能だと思いますが、私の勤務する病院は特に件数が少ないので、人員配置や変更が難しい状況なのだと考えられます。
今後、移植件数が増加して診療報酬を十分に頂けるようになると、良い方向に変わる可能性があると思います。

 

 

―移植コーディネーターの立場―
―移植コーディネーターの現状についてお話をお聞かせください。
私が勤務する病院でも組織改編を行い、臓器移植症例数を増やそうと努力していますが、移植コーディネーターを職種として認めるという動きにはなっていません。
臓器移植、特に腎移植の場合は、学会のガイドラインに移植コーディネーターがいることを推奨するというように明記されているだけで、必須ではない感じです。
そうなると腎移植のコーディネーターをしたいと考えても、費用対効果の面で専従勤務は難しい状況です。
しかし造血幹細胞移植の場合は、そこが特殊で、カテゴリー分けをしています。
移植コーディネーターがいる所はカテゴリー1、いない所はカテゴリー2という形が明確になっており、診療報酬に差が出るというメリットが明確になることで、コーディネーターとしてアピールしやすい状況です。
―費用面の部分でアピールできると、職種として認められていく可能性があるということですね。

 

 

『看護師のキャリアシリーズ ~移植コーディネーターに聞きました その参~』へつづく。

 

バックナンバー

↳看護師のキャリアシリーズ ~移植コーディネーターに聞きました その壱~

 


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