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看護師、コロナ感染で労災などの休業補償も!

新型コロナウィルスに感染しないように、予防策は講じていると思いますが、感染してしまい、休業を余儀なくされた際の給付に関しても把握しておくことは重要であると考えられます。
4月29日に厚生労働省から新型コロナウィルスでの労災保険や休業時の給付などに関して発表がありました。
詳細は、URLを参照していただけらたと思います。

 

休業補償について
労災補償について
傷病手当について
 (参照:厚生労働省HPより)

 

新型コロナウィルスに勤務中に罹患してしまったことが明らかである場合には、労働災害と認定され、『療養給付』や、休業中の収入保障である『休業給付』の受けることができるとされています。
『休業給付』は、療養費の全額が補償される『療養給付』とは違い、給与の全額にあたる額が補償されるわけではなく、一部が休業中に補償されます。
一部ではありますが、しっかりと給付が受けられるように手続きを行うことが大切です。

 

ここでは、実際に労働災害が発生した際の給付の受け取り方、特に『療養給付』と『休業給付』に関して解説させていただきたいと思います。
また労働保険とは別に『傷病手当』に関しても、解説していきます。

 


 

目次
 1.労働保険
  1-1.労働保険とは
  1-2.療養給付の申請のやり方
  1-3.休業給付の申請のやり方
 2.傷病手当
  2-1.傷病手当とは
  2-2.傷病手当の申請のやり方

 


 

1.労働保険

 1-1.労働保険とは

  労働保険とは、『労働災害補償保険』といい、仕事中もしくは通勤中に生じた病気や怪我、もしくは死亡してしまった際の補償をしてくれる保険のことです。
  労働保険の中には、『労災保険』と『雇用保険』とがあり別の保険制度になっていますが、保険料の給付は一体のものとして扱われます。

 

  給付を受けるにあたっては、雇用形態は関係なく、パートやアルバイトの方でも給付を受けることができます。
  保険給付の種類と給付を受ける条件に関しては、下記の表を参考にしてみてください。

 

 
保険給付の種類 適応 給付内容
療養補償給付 業務災害または通勤災害による傷病により療養するとき(労災病院や労災指定医療機関等で療養を受けるとき) 必要な療養の費用の給付
休業補償給付 業務災害または通勤災害による傷病の療養のために労働することができず、賃金を受け取れないとき 休業4日目から、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額
障害補償給付 障害補償年金:業務災害または通勤災害による傷病が治癒(症状固定)した後、障害等級第1級~第7級までに該当する障害が残った時(障害補償年金)。障害等級8級~第14級までに該当する障害が残った時(障害補償一時金) 障害補償年金:障害の程度に応じ、給付基礎日額の313日分から131日分の年金

障害補償一時金:障害の程度に応じ、給付基礎日額の503日分から56日分の一時金

遺族補償給付 業務災害または通勤災害により死亡したとき(遺族補償年金)。

遺族補償年金を受け取る遺族がいない、遺族補償年金を受けている方が失権しかつ他に受け取るものがない場合ですでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たないとき(遺族補償一時金)。

遺族補償年金:遺族の数等に応じ、給付基礎日額の245日分から153日分の年金

遺族補償一時金:給付基礎日額の1000日分の一時金(ただし、(2)の場合は、すでに支給した年金の合計額を差し引いた額)

葬祭料葬祭給付 業務災害または通勤災害により死亡した方の葬祭を行うとき 315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額(その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額の60日分)
傷病補償年金 業務災害または通勤災害による傷病が療養開始後1年6か月を経過した日または同日後において以下の内容が該当することとなった時。

・傷病治癒(症状固定)していないこと

・傷病による障害の程度が障害等級に該当すること

障害の程度に応じ、給付基礎日額の313日分から245日分の年金
介護保障給付 障害補償年金または、障害補償年金受給者のうち、第1級のものまたは、第2級のもの(神経・精神の障害及び胸腹部臓器の障害の者)であり、現に介護を受けているとき 常時介護の場合は、介護の費用として支出した額(ただし、104,290円を上限とする)。
ただし、親族等により介護を受けており介護費用を支出していないか、支出した額が56,600円を下回る場合は56,600円。
随時介護の場合は、介護の費用として支出した額(ただし、52,150円を上限とする)。
ただし、親族等により介護を受けており介護費用を支出していないか、支出した額が28,300円を下回る場合は28,300円。
二次健康診断等給付 定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目について異常の所見があるとき 二次健康診断。

特定保健指導

二次健康診断の結果に基づく医師又は保健師の保健指導

(参考:厚生労働省東京労働局HPより)

 

 1-2.療養補償給付の申請のやり方


  療養補償給付:休業中にかかる治療費を負担する給付制度のことです。
  治癒(症状固定)するまでの間補償で、労働災害の指定医療機関の場合と指定を受けていない医療機関での治療では提出する書類が異なります。

  労働災害(労災)が発生した場合、労働災害の発生を事業主に報告します。
  その後、雇用主は管轄の労働基準監督署に労働災害が発生した旨を報告します。

 

  本人は、受診した医療機関が、労災指定医療機関であるか、それ以外の医療機関であるかによって、提出する書類や給付の受け方が異なります。

 

労災指定医療機関の場合
  労災指定医療機関の場合、療養費の支払いはなく、療養給付の手続きを開始します。

 

  労働基準監督署に備え付けてある『療養補償給付たる療養の給付請求書』という書類(厚生労働省HPからもダウンロード可能)に必要事項を記入し、事業主に提出し、証明を受け、医療機関に提出します。

 

  請求書は医療機関を経由して所管の労働基準監督署長に提出され、労災指定医療機関に支払いが行われます。

 

労災保険指定医療機関以外の場合
  労災指定医療機関以外の受診の場合には、療養費を一時的に立て替えを行います。
  この際、健康保険の適応はされず、全額負担となるため注意が必要です。

 

  その後、『療養給付たる療養の費用請求書』という書類を所管の労働基準監督署長に提出することで、負担した療養費が現金で支払われます。
  しかし、請求書の提出には医師の証明が必要となり、受診した医療機関の証明を求めることが必要となるため、受診した医療機関に証明をもらってください。
  その際、医療機関によっては、証明料を請求されることがあり、その費用は労災保険の中で保障されない可能性が高いです。

 

  ※療養給付申請書類記載例

 

 1-3.休業補償給付の申請の仕方


  休業補償給付:休業しなくてはいけなくなった日から4日目より、1日につき給付基礎日額の80%の給付を受けることができる。給付を受け始めるまでの3日目までは、雇用主(会社)が給与の60%以上を補償する。

 

  ※給付基礎日額:労働基準法の平均賃金に相当する額であり、原則として、業務上または通勤による負傷や死亡の原因となった事故が発生した日、または医師の診断ン位寄って疾病の発生が確定した日の直前3か月間に被災労働者に対して支払われた賃金の総額(ボーナスなどは除く)を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額です。

  休業補償給付の手続きには『休業補償給付請求書・休業特別支給金支給申請書』を記入し、事業主の証明・医師の証明を受けて、所管の労働基準監督署長に提出します。

 

  支給が決定されれば、支給決定通知が届き、指定された口座に保険給付が支払われます。

 

  休業が長期にわたる場合には、1か月毎の請求が一般的とされています。
  療養のために労働することができないため賃金を受け取れない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年を経過すると、事項により請求権が消滅します。

 

  ※『休業補償給付請求書・休業特別支給金支給申請書』記載例
 (参照:厚生労働省HPより)

 

 

2.傷病手当金

  2-1.傷病手当金とは

  傷病手当金とは、業務外の病気や怪我の療養で休業し、事業主から十分な賃金を得られないときに保障される制度です。

 

  健康保険給付での療養だけでなく、就業困難である証明があれば、自費で受けた診療や、自宅療養に関しても支給の対象となります。

 

  支給の期間は、支給開始日から連続して1年6か月となります。その間に出勤があったとしても期間に含まれます。また出勤している期間は、傷病手当金の支給は原則ありません。

 

  2-2.傷病手当の申請のやり方

  傷病手当金の支給には4つの条件があります。
  それをすべて満たした場合、支給されます。

 

  1.業務外の事由による病気や怪我の療養のための休業である
  2.仕事に就くことができない
  3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった
 療養のため休んだ日から連続して3日間経過した後(待機3日間)から支給対象となり、支払われます。
  4.休業した機関について給与の支払いがない
 給与が支払われないことに対する保障制度であるため、原則給与の支払いがないことが条件となります。
 しかし、給与が支払われていたとしても、その額が傷病手当金の額よりも少ない場合には、その差額が支払われます。

 

申請書類
  申請には、協会けんぽや保険組合から取り寄せられる、『傷病手当金支給申請書』の提出が必要となります。申請書は、本人が記入する用紙の他に、事業主記入用の用紙医師記入用(療養担当者の証明)の用紙があるので、それぞれ記載してもらうようにします。

 

提出先
  提出先は、保険者(協会けんぽや保険組合など)へ提出します。
  事業主から行うことが一般的ですが、自分で提出しても構いません。
  提出後、支給決定通知書が届き、支給が開始されます。
  ただし、書類提出してから審査が下りるまでに時間がかかります。
  申請後すぐにもらえるものではないため、数週間程度かかることが多く、注意が必要です。

(参照:全国健康保険協会HP)

 

 


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