交感神経が興奮すると血糖値はどう反応するか?
- 低下する
- 上昇する
- 変化しない
- 一時的に低下後、上昇する
回答
2.上昇する
解説
交感神経が興奮すると、血糖値は上昇します。これは「ストレス反応」や「闘争・逃走反応(fight or flight)」の一部であり、身体が危機的状況に備えるためにエネルギーを即座に利用できる状態にするための生理的適応です。/p>
1. メカニズム
交感神経の興奮により、末梢の交感神経終末からノルアドレナリン、副腎髄質からアドレナリンが分泌されます。これらのカテコールアミンは肝臓や筋肉に作用し、以下の反応を引き起こします:
- グリコーゲン分解(グリコーゲノリシス)促進
- 肝臓のグリコーゲンが分解され、血中にグルコースが放出される。
- 糖新生(グルコネオゲネシス)促進
- 乳酸やアミノ酸から新たにグルコースを合成する。
- インスリン分泌抑制
- 膵臓β細胞からのインスリン分泌が抑制され、血糖の細胞取り込みが減少する。
- グルカゴン分泌促進
- 膵臓α細胞からのグルカゴン分泌が増加し、さらに血糖上昇を助長する。
2. 生理的意義
この血糖値上昇は、筋肉や脳に迅速にエネルギーを供給するために不可欠です。特に脳はグルコースを主要なエネルギー源とするため、危機的状況での血糖上昇は生命維持に直結します。
3. 臨床的視点
交感神経興奮は、疼痛、恐怖、手術、外傷、低血糖などのストレス状況で起こります。糖尿病患者ではこの反応が過剰になり、ストレス高血糖を引き起こすことがあります。ICUや手術後管理では、交感神経刺激による血糖上昇を予測し、インスリン投与や血糖管理が重要です。
まとめ
交感神経興奮 → アドレナリン・ノルアドレナリン分泌 → グリコーゲン分解・糖新生促進 → インスリン抑制 → 血糖値上昇。
この反応は「ストレス時の代謝調整」の基本であり、看護師は急変時や術後管理で血糖変動を理解しておく必要があります。
執筆・監修に関してはこちら