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看護クイズ : けいれん発作が5分以上持続している場合の初期治療薬は何か?


  1. フェニトイン
  2. ジアゼパム
  3. レベチラセタム
  4. バルプロ酸ナトリウム

答え

2.ジアゼパム

解説

けいれん発作が5分以上持続する場合、これは「てんかん重積状態(Status Epilepticus)」と定義され、脳への不可逆的な損傷を防ぐために、速やかな治療介入が求められます。日本神経学会の「てんかん診療ガイドライン2018」や救急医療現場の実践的な対応指針では、**初期治療薬としてベンゾジアゼピン系薬剤が推奨されており、特にジアゼパム(Diazepam)**が第一選択薬とされています。

ジアゼパムはGABA受容体を介して中枢神経系の過剰な興奮を抑制する作用があり、静脈内投与により迅速な効果が期待できます。成人では通常10mgを静注し、効果が不十分な場合は5〜10分後に追加投与が可能です。ただし、呼吸抑制の副作用があるため、投与中は呼吸状態の厳重な監視が必要です。
一方、フェニトイン(A)、レベチラセタム(C)、バルプロ酸ナトリウム(D)はいずれも抗てんかん薬として有効ですが、これらは第二段階以降の治療薬として位置づけられています。初期治療では、まずジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤で発作を止めることが最優先です。

なお、ロラゼパムも有効性が高いとされますが、日本では長らく静注製剤が未承認だったため、ジアゼパムが主に使用されてきました。近年ではロラゼパム製剤も使用可能になりつつありますが、現場では依然としてジアゼパムが広く用いられています。
このように、けいれん重積状態の初期対応では、迅速なジアゼパム静注が生命予後を左右する重要な処置となります。看護師としては、医師の指示に基づき、適切な薬剤の準備と投与補助、患者の呼吸・循環状態の観察を的確に行うことが求められます。

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