悪性高熱症はどのような状況で発生するか?
- 局所麻酔薬の投与時
- 吸入麻酔薬や筋弛緩薬(特にスキサメトニウム)使用時
- 抗菌薬投与時
- 輸血時
回答
2. 吸入麻酔薬や筋弛緩薬(特にスキサメトニウム)使用時
解説
悪性高熱症(Malignant Hyperthermia)は、全身麻酔中または麻酔導入後に発生するまれですが致命的な合併症で、主に吸入麻酔薬(ハロタン、セボフルランなど)や脱分極性筋弛緩薬(スキサメトニウム)を使用した際に誘発されます。遺伝的素因を持つ患者において、これらの薬剤が骨格筋のカルシウム代謝異常を引き起こし、筋収縮が持続することで代謝亢進と体温急上昇が生じます。
病態の特徴
悪性高熱症では、筋細胞内のカルシウムが過剰に放出され、筋硬直、酸素消費増加、二酸化炭素産生増加、代謝性アシドーシス、頻脈、高体温が急速に進行します。体温は数分で40℃以上に達することもあり、未治療では致死率が非常に高い状態です。
臨床症状
初期症状として、麻酔中の急激な呼吸性・代謝性アシドーシス、心拍数増加、筋硬直(特に咬筋)、二酸化炭素濃度上昇が見られます。進行すると高熱、頻脈、不整脈、ミオグロビン尿、腎不全などが発生します。
対応と看護師の役割
治療の第一選択はダントロレン静注で、筋細胞内カルシウム放出を抑制します。併せて冷却、酸塩基平衡の是正、循環管理、電解質補正を行います。看護師は、麻酔中の異常兆候(呼気CO₂上昇、頻脈、筋硬直)を早期に察知し、直ちに麻酔医へ報告することが重要です。また、悪性高熱症の既往歴や家族歴を術前に確認し、リスク管理を徹底する必要があります。
まとめると、悪性高熱症は「吸入麻酔薬やスキサメトニウム使用時に発生する重篤な代謝異常」であり、迅速な対応が患者の生命を救う鍵となります。
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