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虐待されている高齢者を老人短期入所施設に入所させる法律はどれか


  1. 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく市町村長の緊急一時保護
  2. 「児童福祉法」に基づく保護措置
  3. 「成年後見制度」による監督後の施設入所
  4. 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づく措置入院

回答

1. 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく市町村長の緊急一時保護(老人福祉法第20条の3に基づく老人短期入所施設への入所)

解説

高齢者虐待が疑われ、生命または身体に重大な危険がある場合、市町村長は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(通称:高齢者虐待防止法)第9条に基づき、迅速に虐待の事実確認を行い、必要な措置を講じる責務を負います。その措置として「老人福祉法」第20条の3に定める老人短期入所施設(ショートステイ等)への入所が可能です。これは養護者との分離・保護を目的とした緊急一時保護に該当し、養護者の同意がなくとも実施されます。

この法制度は、高齢者虐待の早期発見・対応を義務づけるものであり、看護師などの医療・福祉従事者は虐待を発見した場合、通報義務が課せられています(高齢者虐待防止法第5条)。

選択肢2の「児童福祉法」は子どもに関する法制度であり高齢者には適用されません。選択肢3の成年後見制度は判断能力が低下した人の財産・身上監護の制度であり、施設入所の強制措置とは異なります。選択肢4の「精神保健及び精神障害者福祉法」は精神障害者に対する入院措置の制度であり、高齢者虐待事案の緊急避難的保護とは別の枠組みです。


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