診療看護師とは?役割や資格取得方法、実績などを解説

ごあいさつ

みなさんはじめまして。僕は愛知県にある社会医療法人 宏潤会 大同病院 診療部NP科に所属しております後藤修司です。当院は、病床数404床の中規模急性期病院です。

僕の職種は、診療看護師(Nurse Practitioner:NP)です。みなさん、どのような職種かご存知でしょうか。各病院では「NPさん」だとか「NPの先生」だとか、色々な呼び方で呼ばれて頼られているようですね。少しだけですがNPについて紹介させていただきます。

What is NP??  Who is NP??

診療看護師(Nurse Practitioner:NP)とは大学院の修士課程において、医学的知識を身につけ、医師サイドにたった診療を、一定の範囲で行える看護師を指します。この診療にはあらかじめ厚労省の指針を参考に院内で作成される手順書を用いた【包括的指示】による特定行為の展開と、医師からの【直接的指示】による相対的医行為が含まれます。

★手順書に基づく包括的指示(特定行為)
厚生労働省により要件を定められた研修を修了した看護師が、手順書に基づいて包括的に実施することができる21区分38行為特定行為といいます。手順書の作成時に定められた範囲の症例(基本的には軽症例)に対して実施する診療の補助であり、以下のような項目が厚生労働省によって定められています。いわゆる、特定行為に関わる看護師が取得する項目です。

アルメディアHPより

★医師からの直接的指示
医師からの直接的指示に基づく相対的医行為であり、こちらは基本的に医師との協働です。NPが独断で行うものではありませんが、より高度な医行為が含まれるため、確かな知識と医師との円滑な連携・信頼関係形成等が求められます。指示の下での実践とはいえ、自己への責任も意識しておく必要があります。具体的には、気管挿管、中心静脈確保、縫合、手術助手、内服・点滴オーダー代行入力等が挙げられますが、病院や働く領域によって求められる内容は異なります。

診療看護師(NP)と特定行為研修後の看護師


NPの教育課程は、大学院修士課程で高度な医学的教育を受け、臨床実習・特定行為研修・卒業論文・資格試験合格というステップを要します(後述)。NPも特定行為研修後の看護師も、上記厚生労働省指定の特定行為の全て、あるいは一部を実施可能です。(NPはほとんどの教育機関で全ての特定行為を取得)しかしながら、NPは特定行為に加え医師からの直接的指示に基づき、前述の相対的医行為を実施します。

 

■NPの卒後教育は?

NP自体がまだ未熟な制度であり、その役割・初期研修も各施設に任せられている現状です。ただ、多くの病院が研修医の中に混じる形で、初期研修ローテートを行っています。

当院では、基本的にはNPローテートは1年間行い、自分の学びたい分野・将来Fixしたい分野等を組み合わせてスケジュールを組みます。以下にローテート例を示します。

 

To be a Nurse Practitioner

NPになるためにはいくつかのステップが必要です。

★ステップ①
看護師として5年以上の臨床経験を有する。

★ステップ②
日本NP教育大学院協議会が認定する、診療看護師教育課程を有する大学院へ進学し、座学・筆記試験・実習・OSCE・特定行為研修・卒業論文作成等の過程を経て卒業すること。

★ステップ③
日本NP教育大学院協議会が行うNP資格認定試験に合格する。

以下に母校である藤田保健衛生大学(現:藤田医科大学)を例にフローチャートを示します。

※専門実践教育訓練給付金制度(厚生労働省)

→NP教育課程の授業料が該当。実質、通常の半額以下で大学院の卒業が可能に!

学費面でなかなか一歩を踏み出せない方にも、NP教育大学院入学が身近なものになりました。それだけ、世間で求められてきているんです。

 

■当院NPの具体的活動・実績

大同病院のNPを数名紹介します。

①山添 世津子NP

看護師時代、集中治療領域にて多くの経験を積んでおり、その経験を活かしてICUを中心として活動しています。当院のICUはOpen ICU1であり、様々な科のDrが出入りします。豊富な知識とコミュニケーション能力で各領域のDrと連携し、集中治療が円滑に行われるよう管理してくださっています。呼吸ケアチームへの参画やPICC・CV等のディバイス管理等も院内で任されています。NP科のまさにトップです。

②松尾 佑一NP

 

 

看護師時代は集中治療領域に従事され、筆者(後藤)の同期でもあります。

ローテート後は麻酔科にFixし、日々多くの麻酔管理を行っています。麻酔科医・外科医と連携し、日々の手術が効率的に進行できるよう、尽力してくれています。

③後藤NP

僕はローテート後、主として腎臓内科にFixし、苦手な内科管理を学びつつ病院のニーズに合わせて外科系・麻酔科・チーム医療等に従事しています。診療科を超えての活動を行っており、SpecialistというよりはGeneralistといえます。

腎臓内科領域では、入院患者の担当、血液透析・腹膜透析患者管理、シャント手術助手、シャントPTA、外来業務(主として初診患者対応)等を行っています。入院患者に関しては主治医-担当医とで管理していくことが一般的ですが、当院はカルテ上に「担当NP」まで表示され、それぞれの診療科でNPが積極的に患者管理に参画しています。

週に1日、上記松尾NPのように麻酔管理も担当しています。人員不足を埋め、自己のスキルアップにもつながると考え、そのような形を取らせていただいています。

以前は外科系患者管理・手術助手も兼任しておりましたが、現在は医師増員に伴い、必要時のみ手術助手を行います。

 

〜後藤NPの1週間〜

 

〜後藤NPのある1日〜

■後藤の実績例

院外発表の一部紹介です。透析学会・腎臓関連の国際学会・高血圧学会・NP学会等で演題発表を行っています。NPの存在を知っていただく、良い機会となっています。

 

■NPの後輩達(1年目ローテート)

当院には4名のローテーターが後輩として所属しております。
2022年4月より、在宅診療部、総合内科、神経内科へ各1名ずつFixしています。
残りの1名は、就職時期の関係でもう半年ローテートを継続します。
各々みんな優秀で、頼りになる後輩たちです。
2022年度には更に3名の新卒NPがローテート予定です。

【当院のNPローテート例】

US:生理検査 ER:救急外来

■さいごに

NPがどんな役割を担い、実臨床で活動しているのか少しでもイメージが付いたでしょうか。NPはまだまだ未熟な制度ですので、やはり仲間が増えて各方面で活躍して実績を残すことが最重要事項と言えます。近年は、NP活躍の場として、慢性期の病院や在宅診療等にも普及してきています。多方面で活躍し、学会発表等で社会的価値を示す、まずはここからだと思います。

スキルアップのための第一歩・きっかけとして、Caringの研修もぜひご活用ください。

当院は2022年に3名が入職予定であり、合計10名のNPが在籍します。この規模の病院としては役割は飽和しつつある印象です。

しかしながら、僕たちNPには病院や診療科を越えて仲間が必要です。2024年には働き方改革が医師にも適応され、就労時間の制限が厳しくなります。NPを必要としている病院も今後増えてきてくでしょう。看護師として臨床でくすぶっている皆さん、一歩踏み出して患者さんの診療に従事してみませんか。NPへの道もぜひご検討ください。