看護師のキャリアシリーズ ~臨床教員を目指す看護師に聞きました~

看護師のキャリアパスについて、臨床から離れ研究職に就かれた方や、資格を取得し仕事に活かされている方などにお話をお聞き、看護師のキャリアパスシリーズとして、紹介させていただきます。
今回は、大学病院に勤務されながら、大学院へ通い、臨床教員を目指している看護師さんにお話を伺いました。

 


 

目次
 1.臨床教員に関して
  ~臨床教員へのプロセス
  ~臨床教員までの時間
  ~給与について
  ~臨床教員の数は
  ~臨床教員になるための必要な臨床経験と知識

 

 2.大学院に関して
  ~大学院のために英語力は必要か、必要な知識・能力は~
  ~大学院の学費は~
  ~大学院のスケジュール~
  ~通学中の業務とプライベートの時間~
  ~研究活動について~

 

 3.大学院へ行くことでの変化
  ~大学院へ行くことでのメリット・デメリット~
  ~大学院の大変なこと~
  ~異質な目で見られることも~
  ~データ分析・プレゼンテーション・指導の能力が上がる~

 

  


都内の大学病院に勤務されながら、臨床教員になるために大学院へ通われている看護師さんにお話を聞き、大学院での様子や、職場との両立などについてお話を伺いました。

 

 

1.臨床教員に関して
―臨床教員へのプロセス―

臨床教員になるプロセスは大学によって違います。私が所属する大学は修士や博士の学位と、何年以上の臨床経験が採用条件としてあるようです。
以前は、修士以上であればという評価でしたが、臨床指導者として働いた経験があることが追加され、スタッフではなく主査(係長)以上の職位が必要になりました。

 

―臨床教員までの時間―

私が所属する大学病院では、最低でも修士課程は踏まなければなりません。大学を出た場合は4年間の教育を受けているので、修士はプラス2年が必要になります。
(ちなみに、修士と博士課程が分かれている場合は、博士課程が3年なのでトータルで5年です。プログラムによっては修士前期と後期があり、ストレートに進むと4年で済む学校もあります。医師が学校に6年間通うと修士が取れますが、先生が博士を取るには2年で済みます)

 

―給与について―

私が所属する大学病院では、臨床教員を取得すると月給が3万円ぐらいプラスになります。ベースがアップするので、40万円ぐらいは上がると思います。ボーナスを含めると年間50万円ぐらい上がるかもしれません。
しかし、実習期間は学生と同じく月曜から金曜の日勤になるため、夜勤も何カ月に1回ぐらいは入るようですが普段より減るようなので、総支給額は微増だと思います。

 

―臨床教員の数は―

私の所属する病院の正確な人数はわかりませんが、系列の病院をすべて合わせて30~40人ぐらいはいると思います。

 

―臨床教員になるための必要な臨床経験と知識―

臨床教員は、実習をする部署で教員として働きます。その部署で多い処置等が分からないまま指導するのは難しく、知識や特性が理解できるだけの経験年数はあるほうがよいと思います。
できれば一つの場所で3年以上の経験があるほうがよいですが、部署が変わる病院では、3部署以上を経験すればどこでも対応ができると思います。ただし、臨床教員は専門領域が決まります。

 

2.大学院に関して
―大学院のため英語力は必要か、必要な知識・能力は―

受験科目に英語が入っている所は多いと思います。また、大学院で調べ物をするときには、海外の論文も何本か読まなければ新しい分野で研究を始められないので、英語は読めたほうがよいと思います。
データの取り方やまとめ方、研究方法は各大学院で講座があるので受講すればよいと思いますが、Microsoft Excelをよく使うので、パソコンを多少は把握しておくとよいです。
必須ではありませんが、知識はあったほうが有利だと思います。
統計学の知識に関して、2年間は意外と短いので、基本はあったほうがよいと思います。
大学によっても卒業条件が違います。
私の大学院では、修士論文として学校に提出さえすればよかったのですが、大学院によっては学会誌に載せなければならないこともあり、投稿し始めてから長ければ半年かかるので、1年半で論文が書き上がっていなければなりません。
1年間をデータ取得に当てるとすれば、最初の半年で分析方法も記載した研究計画書を立てなければならず、統計について把握していないと難しいので、初めから統計学の知識があるほうがよいとは思いますが、半年間で頑張って勉強すれば書けなくはありません。

 

―大学院の学費は―

学費は、学校によってかなり違いますが、私の大学(私立)は国立大学並みで非常に安いです。初年度は70~80万円で、2年次以降が60万円ぐらいです。知り合いが通う私立の大学院は年間200万円の学費が必要になるようです。
大学によっては社会人枠があるので働きながら受けられますが、通常勤務をしながら通えない大学院もあるので、そうなると生活費を含めると凄い支出になることもあると思います。

 

―大学院のスケジュール―

私の大学が学費が非常に安いのは、授業がそれほど多くないからで、取らなければならない単位数も博士で20、修士が30~40だったと思います。
ゼミナールでも担当している先生の単位が取れるので、参加さえすればそれほど大変ではありません。ゼミナールは、月に1度あるかどうかぐらいです。
それでも多いほうで、あとは個別指導です。ただし、論文化するときには週に4回ほど通いました。
大学院に行くのは、基本的には、先生が勤務している月曜から金曜の時間内です。ただし、ゼミナールだけは18時半ぐらいから行われます。学校の場所次第だとは思いますが、私の場合は勤務の後でもすぐ行けば間に合うくらいです。

 

―通学中の業務とプライベートの時間―

大学院に学びながら働いていますが、病院の仕事で残業は増えることはありません。場合にもよりますが、仕事は別としておかなければ、大学院に行っているからと言われてしまいます。私の場合は職場での研究活動ではないので残業は増えません。
プライベートの時間を削って研究するのが病院の方針です。プライベートの時間を持とうと思えば持てますが、研究に没頭すればなくなると思います。
基本的に大学院は自分で学ぶ場所なので、どこのゼミナールでも本人の割り振り次第だと思います。

 

―研究活動について―

他病院の大学院の研究活動は、研究室にこもることが多いようです。基本的に大学院は専門的なことを学ぶところなので、ゼミナールの先生の領域を皆で勉強し、それぞれの担当で新しい研究を追加することで成り立っていると思います。私が通う大学院の先生は、比較的色んなことを研究させてくれます。私は教育関係ですが、ゼミナール生の中には臓器移植を研究している人もいます。看護師だけでなく臨床技師もおり、術中に人工心肺の酸素飽和度を高く保つことで腎不全発生率が下げられるか研究しています。いろいろと分野が分かれています。

 

 

3.大学院へ行くことでの変化
―大学院へ行くことでのメリット・デメリット―

春と秋に入学があり、半期前に入った人も同級生なので、いろいろな研究発表や学会に参加するために割と一緒に地方へ行きました。
旅行のような感覚で観光地を巡れたのは楽しかったと思います。
行く口実にもなり、モチベーションの一つになる人はいると思います。
私はデータをまとめることが好きなので、職場で行う理由がよく分からないようなアンケートについても、このほうが効果的だと思う等の意見が言えるようになったと思います。
職場でのデメリットは、もともと看護師はITリテラシーが弱く、パソコンでデータを扱ってプレゼンテーションをする機会がなく、技術職と感じている人が多いと思うので、パソコン作業が私に回ってくるようにはなりました。

 

―大学院の大変なこと―

らいことや辞めたいと思う瞬間はたくさんあります。メリットよりデメリットが多いと思います。
先ほど言ったような学ぶことや研究することを楽しめない人は、ただ大変なだけだと思います。
ゼミナールにもよりますが、私の所では専門にしている人が少ないので、下調べや先生に対するプレゼンテーションも全て自分の力でした。先生がいろいろと言ってくれますが、把握し切れていない分野もあって誰も教えてくれないので、より根拠を持って説明するためには下調べもたくさん必要でした。

 

―異質な目で見られることも―

デメリットとは別かもしれませんが、私が所属する大学病院はキャリアアップを求めている人が多くないので、私に対して異質な印象を持っているのではと思います。
その一方で、別の大学病院では、大学院に行くのが当たり前の所もあります。
基本的な能力の差と周りの環境によっては、大学院に行くことのメリット・デメリットは大きくあると思います。当院は、異質な目で見られがちだと思います。

 

―データ分析・プレゼンテーション・指導の能力が上がる―

看護師の通常業務では身に付かないプレゼンテーション能力が高くなり、データの取り扱いにも強くなれると思います。
毎年、新人が入ってくるのに、どのように学ばせるかについて病院内で学ぶ機会はありませんが、大学院に通えば後輩指導も学べるので勧めたいと思います。
個人的な意見ですが、大学院に行きたいと思うのは、分からないことが分かるようになりたい人のほうが多いと思います。自分の明らかにしたいことが分かるのが大学院だと思います。

 

今回は、病院に勤務されながら、臨床教員となるために大学院へ通われている看護師の方にお話を伺いました。
ご協力いただきました看護師様、ありがとうございました。

 


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