ベル麻痺とは何か?
- 中枢神経の異常により生じる顔面片側麻痺
- 原因不明の末梢性顔面神経麻痺で、片側の顔面筋が動かなくなる
- ウイルス感染による両側性の顔面神経麻痺
- 一過性の眼瞼下垂と口角下制のみを特徴とする症状
回答
2. 原因不明の末梢性顔面神経麻痺で、片側の顔面筋が動かなくなる
解説
ベル麻痺は、原因がはっきりしない「特発性末梢性顔面神経麻痺」で、顔の片側で表情筋が動かなくなる状態を指します。これは顔面神経(第VII脳神経)が炎症や浮腫で絞扼され、筋力が急激に低下することで発症します。片側の眉が上がらず、口角が垂れる、まぶたが閉じにくいなどの症状が典型的です。また、味覚障害や過敏音(hyperacusis)、耳周囲の痛みなどがしばしば伴います。
原因
多くは単純ヘルペスウイルス(HSV‑1)の再活性化により顔面神経に炎症が起こり、その結果が神経管内での浮腫と圧迫です。帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因のケース(ラムゼイ・ハント症候群)もあり、ベル麻痺はこれらを除いた原因不明の末梢性神経麻痺を指します。
診断
一般的には臨床的所見から診断されますが、脳梗塞や脳腫瘍との鑑別のためにCTやMRI、神経伝導検査、電気生理検査(ENoGや筋電図)を実施する場合もあります。
治療と経過
ステロイド(例:プレドニゾロン)の早期投与が有効で、抗ヘルペスウイルス薬やビタミンB群の併用も推奨されます。多くは2~3週間で改善が始まり、数ヶ月以内に90%以上が回復します。ただし、10~20%は後遺症(顔面痙攣や不全麻痺)が残ることがあります。
看護師は、閉眼困難な場合の眼の保護(人工涙液、眼帯など)や、口周囲のケア、リハビリ支援を行い、患者が日常生活に支障なく過ごせるようサポートします。また、ウイルス感染や基礎疾患(糖尿病、妊娠など)のリスク管理も重要です。
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