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アルコール使用障害でみられる、せん妄は何か?


  1. アルコール摂取後に一過性の記憶障害が起こる状態
  2. 長期飲酒により認知機能が低下し、慢性的な記憶障害が続く状態
  3. アルコール離脱時に見られる急性の意識障害で、幻覚や錯覚を伴う状態
  4. アルコール依存症に伴ううつ症状で、気分が落ち込む状態

回答

3. アルコール離脱時に見られる急性の意識障害で、幻覚や錯覚を伴う状態

解説

アルコール使用障害における「せん妄」は、主にアルコール離脱症状の一部として出現します。これは「アルコール離脱せん妄(Delirium Tremens)」と呼ばれ、長期大量飲酒者が急に飲酒を中止した際に発症することが多いです。特徴は急性の意識障害であり、見当識障害(時間や場所がわからなくなる)、注意力の低下、幻覚(特に視覚幻覚)、錯覚、不安や興奮、発汗、頻脈、血圧上昇などの自律神経症状を伴います。
発症は通常、最後の飲酒から2〜3日後に起こり、重症化するとけいれんや循環不全を伴い、生命に危険を及ぼすことがあります。治療は、ベンゾジアゼピン系薬による鎮静と電解質補正、ビタミンB1(チアミン)の補給が重要です。
選択肢1の「一過性の記憶障害」はブラックアウト(断片的健忘)であり、せん妄とは異なります。選択肢2は慢性アルコール性認知症やコルサコフ症候群に該当します。選択肢4はうつ症状であり、せん妄とは関係ありません。
せん妄は急性期に発症し、適切な治療を行わないと致死率が高いため、早期対応が極めて重要です。

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