日本看護協会 第10回「忘れられない看護エピソード」~『セルフケア看護の実践によるハピネス』~

引き続き、日本看護協会から第10回「忘れられない看護エピソード」の受賞作品のご紹介です。

 

今回はNursing Now 賞です。

Nursing Now 部門は、看護の力で人々の健康に貢献したことを実感した看護実践・経験のエピソードです。

看護師長のアドバイスで病棟看護師の関わり方が変化し、心疾患を持つ患者さんと看護師、更に組織へも良い影響を与えたという作品です。

 

・Nursing Now賞  セルフケア看護の実践によるハピネス

 

【東京都世田谷区】 51歳

 

私は循環器内科病棟の看護師長をしていました。ある一人のナースの看護実践により、スタッフの患者さんを捉える視点が変化しました。

 

Aさんは60代の一人暮らしの男性で、心不全の急性増悪で緊急入院を繰り返していました。Aさんの入院に対して、スタッフは「また、Aさんが入院してきた」と言っていました。私は、その発言にネガティブな感情が現れているのが気になっていました。そこで、M看護師に、患者の強みに着目したセルフケア能力の評価指標を活用した看護の実践を提案しました。M看護師とAさんが一緒に生活を評価することで、Aさんは病気を理解し、水分・塩分に気を付けているが、受診のタイミングが分からず、重症化してからの入院になっていたことが分かりました。タイミングを話し合った結果、Aさんは風邪かなと思ったら、様子を見ずに受診するようになり、入院となっても軽症のため早期に自宅退院できました。

 

Aさんを生活者として捉えた寄り添う看護の実践は、いくつかのハピネスを生み出しました。Aさんにとってのハピネスは、入院が短くなったことです。入院による体力の低下が起きず、治療費も抑えられます。看護師にとってのハピネスは、患者さんを捉える視点の変化です。「どのような生活をしていたのかな」と生活者としてのAさんに着目するようになり、患者さんを多面的に捉えて強みを引き出し、入院中から退院後の生活を一緒に考えるようになりました。看護管理者(私)にとってのハピネスは、患者さんが尊重される職場風土の醸成ができたことです。患者さんとスタッフ双方の変化・成長を実感しました。中でも、M看護師自身が、スタッフの患者を捉える視点の変化に自分の取り組みが影響を及ぼしていると気付く過程は、ダイナミックな様相を呈していました。

 

最後に、病院としても、患者が重症化しないことは入院期間の短縮に繋がり、診療報酬上もベッドの有効活用の点でも利益がありました。

 

(引用:日本看護協会HP 第10回「忘れられない看護エピソード」より


CaringのSNS公式アカウントで、研修会や医療に関わるNewsなどの情報を公開中。